ゲルマン神話や北欧神話、北米先住民、メキシコ、古代インド、インドネシア等では、月の女神のお仕事は、糸を紡いだり機を織ったりすることです。これだけ世界の広いエリアに、文化の異なる民族に分布しているのにもかかわらず、彼女たちが織る布や糸には奇妙な一致点があります。
それは「絶対に完成しない」ということです。
完成直前に必ず何らかの妨害に合い、糸が切れたり布が破れたりするのです。さもなくば、自分自身で破ってしまいます。そしてまた、最初からやり直し完成直前に妨害されて、また初めからやり直す…これを永遠に繰り返しています。なぜでしょう?
勘の良い方なら、もう気がついておられるでしょう。実は、女神のこの行為は、月の満ち欠けを表しているのです。新月から月齢を加えだんだんと大きくなり、満月になったらすぐに欠け始めてやがて新月に…というサイクルそのままを象徴しているのです。
はるか古代の人々にとっては、夜空に銀白色に輝く月の満ち欠けは神秘そのものだったに違いありません。そんな思いが数々の神話を生み出してきました。