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日本だって負けちゃいません、明治のSF、月へ行く??

ヴェルヌの作品では、明治11年には『80日間世界一周』の翻訳が出版されていました。『月世界旅行』は、明治13年に第一訳が出版されました。そのタイトルは『九十七時二十分間月世界旅行』。

SF作家の横田順彌氏によると、日本最初の月世界旅行譚は、明治21年に発表された『夢幻現象 政海之破裂』という作品だそうです。著者は北海散士という人で、他に『二十世紀戦争予言日本花』という未来戦争ものの作品があるそうですが、詳しい経歴等は不明とか。明らかにヴェルヌの『月世界旅行』にインスパイアされて書いた作品なのですが、内容を簡単に紹介してみると…

ある日、主人公は、ヴェルヌの『月世界旅行』を読みながら月世界に思いを馳せていると、急激に疲労感に襲われ、周囲が真っ暗になり、稲妻と雷鳴が轟きだしました。何事かと外を見ると、中天に輝きながら現れたのは、何と1匹の竜!(円盤ではありません)竜は主人公に近づくと、たちまち白髪の老人の姿になり、自分は月の神の使いであると話し、一緒に月に来て欲しいと頼むのです。

月世界には「サウス」と「ノーツ」という2つの国があるが、最近は「ノーツ」の発展が著しくこのままでは無気力な「サウス」は「ノーツ」に征服されてしまう。月の神は、「サウス」を哀れみ、主人公の力で何とか両国を善導して欲しい…と老人を使いに出したとのこと…。そこで主人公は、竜の背にまたがって、いざ月世界へと向かいます。

その後、主人公は、2大大国に分かれた月世界で、月の金鉱を発掘して「サウス」国を援助したり、政治を立て直そうとクーデターを試みて失敗、生命に危険が迫り、もうダメかと観念したところで夢から覚めます。ヴェルヌの『月世界旅行』を読みながら寝てしまったので、目覚めれば全て夢でした…という夢オチのラストなんですが…。

この小説のどこがSFなんだぁ?どこに科学があるんだぁ?などと言って怒らないでください(苦笑)この日本最初の月世界旅行譚は、舞台こそは月世界なのですが、いわゆる科学小説というよりは、明治20年前後に流行した政治批判・政治小説であると言えます。

(むしろ…『ガリバー旅行記』のセンスに近いものがあるかもしれません)純然たるSFではありませんが、日本人による月旅行譚の長編第一作として記念すべき作品なのですから。

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